AO入試の真価
AO入試合格者、6人に1人が退学…読売調査
読売新聞 7月9日(水)10時2分配信
主に学ぶ意欲をみるAO(アドミッション・オフィス)入試で合格した学生のうち、6人に1人にあたる15・5%が退学していたことが、読売新聞の「大学の実力 教育力向上の取り組み」調査でわかった。
入試方法別で最も高い退学率で、一般入試の5・9%が最も低かった。入試方法別の退学率が明らかになったのは初めて。
AO入試は本来、学力試験で測れない意欲や能力を重視する試験だが、早ければ入学の半年以上前に合格が決まることなどで学習意欲を失わせているとの指摘があり、見直しを迫られる大学も出そうだ。
今年の「大学の実力」調査は、通信制などを除く全国744の国公私立大学を対象に、学生の成長のための取り組みや大学の現状を聞き、過去最高の659校(89%)が回答した。
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読売新聞の記事だ。
この記事を読んで、もはや怒りを通り越して呆れさえ感じた。
ー『退学者が多い』という事実だけ突きつけて、
『退学した理由』は非公開。
ー AO入試は学力外の能力を計る試験と定義しておきながら、
「早ければ入学の半年以上前に合格が決まることなどで学習意欲を失わせている」
と、大学さえ始まっていない時期でしかも単なる『推測』を根拠としてあげている。
これが一般的な世論だとするならば到底信じがたいものである。
そもそも大学がAO入試を実施するのは、
『勉強以外の活動』で大学のブランディングをして欲しいからだ。
そのAO生を評価する指標として『大学での勉強』や『退学率』、『授業の理解度』
で計る事自体が矛盾だ。
AO入試もいわばスポーツ推薦と同じだ。
勉強とスポーツ以外の分野で優秀な才能を発揮する人材を獲得するのがAO入試。
そう考えれば、
スポーツ推薦とAO入試の風当たりの違いに違和感を覚えるだろう。
だが、世間がこういった目でAO入試をみるのには2つほど理由があるのもたしかだ。
①試験内容
書類審査と面接という、一見『運』で合否に影響しそうな試験である。
もちろん実際は違う。高校生の間にいかに他数百万人の高校生と違う事をやってきたか。
高校という狭いコミニュティから抜け出して広く活動できたか。
並大抵の学生ではない。
だからこそ一般の人には一体何をしたのか、何をすればいいのか『イメージ』が湧かないのだ。
AO生の中には天才プログラマー、起業家、ボランティア団体のリーダーなど高校時代から行
ってきた人が大勢いる。一般の人にはどうしたらいいのか想像すらつかないのだ。
逆に誰でもスポーツは経験があるため、スポーツ推薦は共感を得やすい。
②AO生が何をやっているのかが大学内じゃ分からない
一般の方のAO生の評価はほぼといっていいほど大学内で行われる。先ほども言ったが、
AO入試生の真価が発揮されるのは主に大学外だ。
極論、忙しくて授業に出れない『起業家』を見たとしても、
一般の人からしたらただの馬鹿にしか映らない。
自分の会社が大きくなり、学業よりそちらを優先するための休学や退学も、
一般の人からすればなんでやめるのかが分からないのだ。
これはもちろんしょうがない話だが、
分からないからと言ってそれをそのまま記事にし、
間違った世論を強めるエゴイスティックなメディアはおかしい。
むしろ一般の方が分からない事を発信すべきがメディアなのに、
間違った考えを助長してどうするのだろう。